将来性のない金融機関を見分ける9つのポイント【融資2】
2018/10/24
平成31年3月には金融検査マニュアルが廃止される事が決定されています。
今後は担保や保証だけに頼らない、
銀行の事業に対する「目利き」が問われる事業性評価融資が進んでいくことは明らかです。
それでも、今もなお昔ながらの融資姿勢の金融機関は非常に多く見られます。
今後2~3年は事業性評価融資に対応できない金融機関も残るかと思われますが、
その後から対応しようとしても遅いです。
他の金融機関に先駆けてどれだけ新しい融資姿勢に対応できるか?
それが生き残る金融機関か、消える金融機関か、見分けるポイントになると思われます。
弊社は港区が拠点の会計事務所ですが、
港区中心に金融機関のディスクロージャー誌の研究などを行い、
お客様に合った金融機関をご提案しようと考えています。
【淘汰される可能性が高い金融機関】
金融庁は、平成29年事務年度において、
ビジネスモデルの持続可能性やそれを支えるガバナンス等に課題を抱える地域銀行及び、 有価証券運用でのリスクテイクが
経営体力・リスクコントロール能力対比で高いと見られる 地域銀行に対し、検査を含むモニタリングを実施しました。 そういった地域銀行で見つかった課題は下記の通りです。
【ビジネスモデルの持続可能性に関する課題】 ・ 中長期的な視点を持たず、
中長期の採算性を度外視した低金利貸出を拡大している
・ 目先の期間収益を確保するため、
利回りの高い貸出債権を売却し将来収益を喪失している
・ 自らの経営実態を正確に把握しないまま、
金利の緩やかな上昇や営業基盤の拡大等、 経営環境の好転を期待し、
将来起こりうる課題を直視せずに実現可能性に乏しい経営計画や収益計画を策定 ・ 計画が大幅未達となっているにもかかわらず、
その要因分析や対応策の策定を怠った結果、 業績の低下が継続し、将来的な収益の維持・回復の見込みに懸念が生じたことで、 繰延税金資産の取崩しや減損処理等、損失が発生 ・ 経営理念に即したリスクテイク領域を定めることなく、
リスクテイクが経営体力(自己資本・収益力)や
リスクコントロール能力(運営態勢・リスク管理態勢)と比較して過大 ・ コア業務純益が大幅に低下する中であっても、本質的な議論を行わないまま、 中期経営計画や年度業務計画に掲げた当期純利益、
配当額、配当性向を維持するためのリスクテイクを実行 ・ 収益力が著しく悪化しているにもかかわらず、抜本的な経営効率化を未検討・未実施 ・ 収益の柱となっている商品・サービスの特性やリスクを理解せず、
必要な収益管理も未実施
<解説>
上記の課題を抱えている金融機関を見分けるためには、
下記の項目について調べると、 どの金融機関が淘汰される可能性が高い金融機関かわかります。
各金融機関のディスクロージャー誌を2期分比較し調べることや、
金融機関の担当者と話をすることで、大体のことを知ることができます。
1.低金利競争に巻き込まれて、平均貸出金利が大幅に低減している
2.本業利益の赤字を補填するため、保有債券を積極的に売却している
3.本業利益に関する経営計画が未達成になっている
4.繰延税金資産の取崩しや減損処理等、損失が発生している
5.決算書と担保・保証人でしか融資判断ができない(目利き力がない)
6.本業利益の赤字が続いているのにも関わらず、当期純利益の黒字が続いている
7.本業利益が赤字にもかかわらず、今までと同じ融資姿勢のままである
8.拡大志向(取引先をどんどん増やそうとしている)
9.担当者が無理に、投資信託や保険、国債等を販売しようとしている
自分たちの取引金融機関や、クライアントの取引している金融機関について一度調査し、
上記のような兆しがある金融機関と取引している場合は、
早いうちに別の金融機関を開拓されることをお勧めします。
今、多くの金融機関の融資方針は、「金融検査マニュアル」の影響から抜け切れていません。 低金利が続く中、 今までと同じような融資方針の金融機関は、将来的には経営の安定度が低まってきます。 落ち目の金融機関とつきあってもメリットはありません。 逆に資金調達が不安定になる可能性があります。 将来性のある金融機関とつきあってくることが、今後はとても重要となります。